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曳家工事におけるトラブル事例

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建物の傷みについて

 曳家工事で最も心配されるのは建物の傷みに関する事です。「建物を傷めないと聞いていたのに・・・」「営業時の説明と違う・・・」などよく耳にします。

 水害地域や道路拡張工事など複数件が対象となる場合、やはり複数件の曳家業者がそれぞれの工務店様などから依頼を受けて施工します。 その中で曳家業者の良し悪しがはっきりします。しかし施工後では手遅れですので「事前に優良業者がわからないものか?」が工務店様が一番気にしている部分です。

 建物の痛みに関しては事前説明でどこまで説明しているかです。「全く傷みません」は仕事を取りたいがためのオーバートークです。逆に「相当痛みは出る」と言われても技術が伴わない業者の可能性も有りますが・・・。

 数年に1回程度の曳家業者と年中通して曳家工事をしている業者では技術に雲泥の差があります。どちらも”曳家工事”を謳っているので一般の方には差が判らないと思います。

 そこで施行を終えた工務店様などから聞いたクレームや苦情などまとめてみました。業者選定の際の参考になればと思います。

 

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その前に!曳家の優良業者の施工でも少なからず痛みは発生します。

 どれだけ優れた技術があっても少なからず痛みは発生します。建物が動くとき停止状態から移動状態に変わる際にローラーなどの摩擦抵抗でほんの少しは揺れます。その際に建物の弱い部分に影響が出ます。(クロスのジョイントや入隅にシワや亀裂が発生)

 嵩上げや移動時に油圧ジャッキを建物に設置しますが、地盤支持力が無いと油圧ジャッキが沈みます。硬い所と柔らかい所でジャッキの伸びしろが違えば建物の不陸が生まれます。油圧メータの付いた大型ポンプを使用して耐圧を確認しながら施工を行う業者であればその不陸を抑えはしますがゼロではありません。

 地盤が弱い場所ほど建物の痛みは発生しやすい事をご理解頂いていればトラブルは防げます。 

 現況が沈下していたり傾いている建物を曳家する場合、移動後は建物を水平に戻します。柱のタチがもとに戻り建物的には良いのですが、傾いた状態でリフォームや建具調整をされていると不具合が発生します。建具はまだ調整出来るので大事ではないのですが、家が傾いた状態で床を水平にリフォームされると建物が水平に戻った際に床がおかしくなります。

​ これは曳家工事のトラブルではなく事前の打合せ及び共通認識の構築の問題かとは思いますが。

 

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【苦情1】基礎が穴だらけで割れてくる・・お客様からも​強度を心配されたが説明しようがない・・・。
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 建物の土台の下で鋼材を組付て移動や嵩上げをします。(基礎ごと移動出ない場合は)基礎は新設になるのですが、鋼材を抜くため基礎の立上りが開口や穴だらけの基礎があります。

 基礎立上りは建物の重さを支える重要な部分です。

 特に基礎天端にある主筋が切断されると基礎強度が大きく下がります。

 建物を据えたら基礎が割れてきた、すぐにクラックが入ったなどの話を聞きます。

 機材機器が揃っている企業ではまずありえない話ですが、その技術や機材が追い付いてない企業ではそれが当たり前なのでしょう。

​ (有)西川総合建設の「スクエアフレーム工法」は基礎の開口を設けずに建物を据え付けています。


 

【苦情2】作業員が明らかに素人だとお客様に言われた。素人仕事で家が壊れたら責任とれるのか?

 曳家工事は全国対応でない限り需要が少ないため、年間を通して自社施工で曳家工事を行う企業は少ないと思います。 たまにしか施工しない企業では”曳家経験者”が育っていません。 応援を呼ぶにしても派遣やアルバイトなど素人さんを使われると元請様はお客さんの手前、恥ずかしい思いをすることになります。

 

 前項で述べた建物の小さい痛みは優良企業であっても少なからず発生します。 しかし素人さんが施工していると判ると、技術が無くて建物を傷めたとお客様からのクレームとなります。

 元請様は曳家業者の作業員名簿は提出を義務付けて下さい。中には無保険者もいますので危険な曳家工事で怪我でもされたら労災で大変な事になります。

【苦情3】他社の物件が終わるまで弊社の工事を着工してもらえない。契約工期も曳家工事待ちでどんどん遅くなりお客様からは苦情が出ている・・・。

 これは明らかに資材不足です。その業者は1件分の資材材料しかありません。複数の建物を着工するにも材料が無ければ不可能です。 

 曳家工事の規模は『枕木・材料の多さ』で判断できます。枕木を自社で何本所有しているのか聞いてみてください。500本下回る業者であればそこまで曳家工事にチカラを入れていません。

​ 油圧ジャッキ数や使用機材も判断する材料になります。

【苦情4】工事を独占したくて能力のない企業と組んでチラシを連名で地域配布した。評判が悪くても他の曳家業者に頼めない・・・

 『地元の曳家工事は地元企業で!』と工事を多く取ろうとその曳家業者と組んだのだが、実際の工事はガラの悪い人達の集まりでした。

 大々的に連名でチラシを出したので別業者にも依頼できず、お客さんからその業者で大丈夫?と言われる始末。

 地域で固まって曳家工事や嵩上げ工事が出るとご近所同士で工事の話が出ます。

 お客さんから嫌がられるのは『柄の悪さ』『モラルの低さ』です。

 家には家具や荷物が置いたままです。見知らぬ人が家の中で作業するので「この人たち大丈夫?」と常に警戒しています。

【苦情5】基礎ごと移動できたのでは?余計な費用が掛かって損をした。御社の計画に問題があったのでは?

 基礎ごと動かせる企業は数少ないので、その施工を見て比べられると可哀そうな気もしますが。

 基礎ごと移動した方が工期短縮、建物の傷み減、伴って全体工事費も抑えられます。

 移動場所に基礎を作る、既存の基礎を壊すの2点が無くなります。基礎ごと移動は重量も増えますので単価は高くなりますが、トータルコストは断然お得です。

 工務店様が基礎ごと移動出来る事例を知らなければお客様にも伝わりません。携帯電話の普及でお客様も勉強されています。 どうかお客様にメリットのある提案をしてあげて下さい。

 

【苦情6】曳家業者が工事費用を直接請求しに来た!御社と契約したのに何なんですか?!・・・(相当噂になりました)

 中部で移動など曳家工事をしている会社です。工事途中の物件なのですが、工務店に『明日までに〇〇万支払ってほしい』といきなりお金の催促があり、契約と違う事や急にそんな大金を準備できない旨を伝えると、

 その中部で移動している曳家業者はお客様のところに行って直接お金の支払いを催促したそうです!

 

 ビックリを通り越して地元業者様の中でも凄い話題になりました。お客様とその曳家業者が契約を交わした訳でもないのに支払い義務は有りません。その非常識な行動は流石にお客様も怖がられていたそうです。

 日本曳家協会に在籍するその業者を良く知る者にとっては噂通りではありますが度が過ぎた行動です。

【苦情7】安全対策が無く深夜穴に落ちた。早朝に発見されたが下半身不随・・・

 曳家業者と工務店様のどちらも非があり、苦情のレベルを超えています。

 河川道路沿いで外灯もなく、建物を持ち上げた状態でバリケードも夜間灯も有りません。曳家工事の掘削穴がそのまま道路から下がった状態で残っていたそうです。 住まわれながらの施工で深夜徘徊が目立つお年寄りの居住者が、夜中に穴に落ちました。見つかったのは朝で落ちた事で下半身不随になり、親族の方から凄いクレームが上がっているそうです。

​ これは曳家のクレームではないのですが水害対策事業の中で起こったので地元では有名な話です。

【苦情8】あれもこれも出来ると聞いていたが実際に変更ばかり・・・最初の説明と全く違う

 施工経験が少ない業者様も当然曳家業者を名乗っても問題ありません。全く施工した事ないのにホームページで曳家施行していると宣伝している業者も有ります。問題あるのか法律家ではないので判断出来ません​が・・・

 曳家工事の経験が低い、又は現場を知らない営業の方は”仕事を取る”事を最優先します。グレーゾーンの多い言葉で説明します。

 優良企業の営業の方は ”建物が少なからず傷む事” ”条件により精度が変わってくる事” は必ず伝え、物件に対してクレームになりそうな事柄は事前判断し、全て説明して了解を得ます。

 

一か八かの施工業者では事前説明の食い違いばかりになると思います。

【苦情9】曳家工事の大幅に高い追加料金を請求されたが見積時の話が違う!

 積算能力のない坪単価いくらの業者もあります。仕事を受注するために安く金額を書いて「手間取った」「苦労した」などお客さんに関係のない所で手間賃を高額追加請求をする業者はそもそも能力やモラルが低いのでしょう。仮置きの期間が遅れたからと資材レンタル費用を高額請求する業者もいます。

 

 曳家工事の見積もりは現場を確認して作成します。(図面だけで積算する事も有りますが概算見積です。それで契約は有りません)現調時に考えられる問題点など拾い出し、見積金額としますので優良企業であれば予想できる範囲と対策を考えているので滅多なことでは追加費用は発生しません。 (※施工条件が大きく変わる、見積以外の追加工事は別として)

 ただし現調では確認しようがない腐食や構造の問題は仕方ない事も有ります。事前にお客様への説明が重要です。

【苦情10】何本も柱に穴を開けられた・・・プロのする事か!!

 工事費の安さで業者を決めたて依頼すると、何本もの柱に穴を開けられボルトを通された!どうしてくれるのか?!

 

 柱は主要構造部ですのでどんな素人業者であっても『柱に穴を開ける行為』はしません。それが神社仏閣であればなおさらです。

 安さが売りのその曳家業者はもともと建物を大切にするような業者ではありません。動けばいい、建物がどうなろうと最終結果が同じなら良い、柱の強度は自分には関係ない・・・。

 

 優良企業はどれだけ丁寧に建物を傷めず移動や嵩上げをするかを考えながら技術を磨いています。一部の手抜き業者と同列で観られる事に憤りを感じます。

【苦情11最新】曳家業者に場所を貸したが賃料を払ってくれない!現在裁判中

 曳家工事は材料を大量に使用します。組付鋼材2~8mが何十本、枕木が500以上、キャンバー、ジャッキ、油圧ホース、他・・・資材を置く広い場所が必要になります。連続工事となれば更に増えます。そのため数件工事がある場合は地元の方に土場(資材置き場)を借りて大型で運び込みますます。

 また長期の工事が予想される場合は地元で民家を借りたりします。

 

 中部で曳家をする業者がその費用を一切払わずに裁判まで発展しているそうです。地元でも有名になり「日本曳家協会は協会員のその事を容認してるの?」と聞かれたので弊社は日本曳家協会ではない旨を伝えました💦

 借りていた民家も5年間?一切支払いをしてないとの事!

 また手付金をもらっているにもかかわらず表向きの会社を計画倒産させて施工せずに消えたとの話も・・・地元業者も泣かせています!

 日本曳家協会さんはどう対応するのか?協会員が犯したことですので被害者の方の救済を考えてほしいですね。

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